「あはは……えっと、そこそこ楽しかったですよ」
「● ● ● と の お 友 達 ご っ こ」
そう言って、ヒフミは隣の彼女に銃口を突き付ける。
「……さよなら、● ● ● さ ん」
そう言って、ヒフミはその""特殊な銃""の引き金を引く。
鳴り響く銃声と共に目の前の光景が紅く染まって行くのを彼女は見届けていた。
「…………」
そこには、かつて補修授業部として活動し、仲間と共に苦楽を乗り越えてきた「阿慈谷ヒフミ」の姿はどこにもなかった。
「だって……仕方ないじゃないですか……」
ぽつり、呟く。
「アズサちゃんも……コハルちゃんも……ハナコちゃんも……」
「そして……先生も」
「みんな……みんないなくなっちゃったんですから」
ひとつ、またひとつと、彼女の想いが零れ落ちる。
「……ねえ、先生」
「私は……わた、し……は…………」
「どうすれば、よかったんでしょうか……?」
「どうするのが……正解だったんですか……?」
その声に応える者は、もはやこの世界にはいなかった。
……
…………
………………
「さよなら」
その日は突如としてやって来た。
「え?」
その声にに気づいた時には既に遅かった。
……身体が動かせなかった。それは背後にいる彼女により自由を奪われていたのもあったが、何よりも自分がその声に驚いて動けなかった。
「…………」
背後の彼女は喋らず、ただその""銃""を私に向けていた。
「な、なん……で、」
ぽつり。
言葉と一緒に一粒の滴が零れ落ちる。
その涙の意味は自分でも理解できなかった。
哀しみなのだろうか、それとも……
「……さよなら」
「ぁ……」
背後の彼女はもう一度そう言うと、その引き金を引いた。
直撃。それが何を意味するかはその""銃""を使っている自分自身が最もよく分かっていた。
……嫌だ。
そう思っても身体はいう事を聞いてくれない。
言いたいことがもっとあった。
何故ここにいるのか、今までどこにいたのか、なんで、どうして、
全てを聞きたかった。でもそれはもう許されなかった。
「…………」
そして意識が途絶える。
最後に見た光景は、背後にいた彼女の笑顔だった。
その彼女は長く、美しい白髪の持ち主で
その内なる強さとは裏腹に背が低く。
かつてヒフミたちと共に学び、共に闘い
そして、誰よりもペロロ様のグッズを、友達を愛した少女。
その名を……「白洲アズサ」と呼ぶ。
…………
「……ヒフミ」
………………
「……お別れだね」
ぽつり。
彼女が呟き、その場を立ち去る。
その彼女の顔は、これまでの人生で最も笑っていて
……これまでの人生で最も、涙を流していた。